
長野県は新潟県に次いで酒蔵の数は全国2位。日本酒造りが盛んな長野県では、伝統を受け継ぎながらも、変わることを恐れない、チャレンジングな酒造りが始まっていた。
長野を訪れたら、”極上”の一杯をぐびっと!
日本酒の文化を未来に継ぐため、新しい道を切り拓く“ フリーク” たちがいる。昭和59 年度生まれの長野県の酒蔵跡取り5 人からなるユニット〈59醸〉だ。同じ時代を生きる仲間であり、ライバルだからこそ同じ想いを共有し、「この年代だから造れるモノを生み出そう」と蔵の垣根を超えて2015年に結成。東飯田酒造店6 代目・飯田淳さん、角口酒造店6 代目・村松裕也さん、沓掛酒造18 代目・沓掛正敏さん、西飯田酒造店9 代目・飯田一基さん、丸世酒造店5 代目・関晋司さんからなる〈59 醸〉は、毎年共通のテーマとルールを掲げ、それに則り5 蔵がそれぞれ仕込んだオリジナル日本酒「59 醸酒」をリリースしている。
東飯田酒造店6 代目・飯田淳さん、角口酒造店6 代目・村松裕也さん、沓掛酒造18 代目・沓掛正敏さん、西飯田酒造店9 代目・飯田一基さん、丸世酒造店5 代目・関晋司さんからなる〈59 醸〉は、毎年共通のテーマとルールを掲げ、それに則り5 蔵がそれぞれ仕込んだオリジナル日本酒「59 醸酒」をリリースしている。
2019 年度のテーマは「道なかば」。活動の折り返し地点である今年、自らへの“ 中間テスト” の意味を込め、「信交酒545 号(山恵錦)」「精米歩合59%」の共通ルールに、「初年度(2015年)と同じ酵母を使用する」という追加ルールを加えたという。それぞれで醸造した“ 極上” な純米吟醸を堪能あれ!
〈59 醸〉って?
メンバーは皆昭和59 年度生まれ。40 歳になるまでの10年間をめどに活動しており、「59 醸酒」のリリースのほか、日本酒文化を広めるためのイベントも積極的に行う。
〈59醸〉を構成する酒蔵たちは、それぞれに高い技術力と譲れない精神を持ち、 独自の酒造りを追求してきた。伝統と革新で日本酒文化の未来を切り拓く、5つの酒蔵を紹介する。
角口酒造店

豪雪地域の“ 辛口の酒”を大切に。
創業は1869 年。冬の間3メートル以上の雪に覆われる日本有数の豪雪地域・飯山市に位置する県内最北端の酒蔵だ。6代目で〈59 醸〉のリーダーでもある村松裕也さんは、25 歳の若さで杜氏に就任して以来、豪雪地域だからこそ求められる「辛口の酒」を根底に、様々に試行錯誤。蔵のルーツと歴史を大切にした丁寧な酒造りを心がけている。
●長野県飯山市常郷1147
☎ 0269-65-2006
www.kadoguchi.jp
丸世酒造店

伝統的な「もち米4段仕込み」を受け継ぐ。
創業は1870年。明治維新直後の混乱の最中、「世の中が丸くなりますように」との願いを込めて酒造りが始まった。5 代目の関晋司さんは大学で畜産を学んだ後、営業職を経験し「自分の造ったものを売りたい」と家業の酒造りに。3 段仕
込みの最後にもち米を加える「もち米4 段仕込み」を代々引き継ぎ、全ての作業を手仕込みで行う。
●長野県中野市中央2-5-12
☎ 0269-22-2011
marusesyuzouten.co.jp
西飯田酒造店

「花酵母」を用いた、新しい酒造り。
創業は江戸末期。「光輝くような信濃の美酒に」との願いを込め名付けられた銘酒「信濃光」でも有名な酒蔵。9 代目の飯田一基さんは、花から酵母を分離させる「花酵母」を大学で研究。卒業後、花酵母の先進蔵で修行し、後に帰郷した。杜氏に就任した後は、花酵母を使用した酒「積善」をリリース。
●長野県長野市篠ノ井小松原1726
☎ 0262-92-2047
w2.avis.ne.jp/~nishiida
東飯田酒造店

地元産にこだわり、地域に根ざす。
創業は江戸時代後期。創業以来“ 地元産” に徹底的にこだわり、仕込み水には犀川の伏流水を、米も長野県産のみを使用。地域の方に喜ばれるお酒を第一に考える地元密着の酒蔵だ。6 代目の飯田淳さんは、繁忙期に“ お手伝い” として入社したが、酒造りを教えてもらうにつれ、次第に酒造りにのめり込んでいったのだそう。
●長野県長野市篠ノ井小松原1724
☎0262-92-2014
www.motooi.com
沓掛酒造

300 年の歴史と伝統を、これからも。
創業は元禄年間(1688 ~ 1704)にまで遡る。年間を通して寒暖差が大きい上田の特性を生かした酒造りを貫き、「福無量」が有名。18 代目の沓掛正敏さんは高校卒業後、音楽教師を目指し音大に進学。しかし酒造業界の落ち込みの話を聞き、家業への責任を感じ帰郷を決意。現在は主に経理を担当し、製造担当の弟と共に酒蔵を切り盛りする。
●長野県上田市下塩尻35
☎0268-22-1903
www.fukumuryo.co.jp