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モデル 畠山千明、そのエネルギーの行方とは

モデル/母親/アクセサリーデザイナー、トレードマークは坊主。国内外のファッション誌やショーを賑わすモデルでありながら、5歳の娘を持つママという顔をあわせ持つ畠山千明が最近始めたビーズアクセサリー「chiaki no bi-zu」が密かに注目を集めていることはご存知だろうか? デイトナ・インターナショナルが今年8月にオープンしたサスティナブル、アート、ファッションにフォーカスするコンセプトストアFirsthand RAYARD MIYASHITA PARKにて、「chiaki no bi-zu」のポップアップを開催。「身近なところから少しでも何かできないか?」という思いから、売り上げは国内の動物保護団体や、子供を守る団体へ寄付している彼女の新たな試みをより多くの人に知ってもらうべくインタビューを敢行。一児の母親として、表現者として、そしてひとりの女性として力強く生きる彼女の信念に迫る。 —今日もお仕事をひとつこなしてから来てくださったとのこと。本当にエネルギッシュですよね。

生きる力が強いって、よく言われます。旦那さんの結婚の決め手もそこだったらしく(笑)。結婚して7年目になりますが、付き合って10ヶ月ほどで結婚しました。共通点は全くなかったんですけど、一目惚れして、人づてで紹介してもらいました。彼とは結婚しか考えられなかったので、付き合ってないのに家を借りて、初めて上京しました。当時、私は22歳で、彼は23歳。求婚したんですけど、断られてしまい。当時の自分の勢いには、正直ひきます(笑)。この話を他の人にすると、ほとんどの場合はひかれてしまうんですけど、糧にしてくれる人もいるみたいです。マネージャーにキム・カーダシアン並みって言われるほど、メンタルが本当に強いんですよ。ただ、今も夫婦仲がいいのは、旦那さんが優しいから。ケンカは年に2回ぐらいで、ほとんどしません。

—そういう両親を持っていると、お子さんも天真爛漫に育ちそうですね。

めちゃくちゃ天真爛漫です(笑)。ただ、大人子供関係なく、厳しくしなければいけないところはきちんと叱ります。うちでは他人のことをとやかく言うことはタブーです。あの人が変だとか、可愛くない、とか言ったら、ゲンコツです(笑)。娘は黒髪で、私は茶髪、旦那さんは金髪。人それぞれなので、娘だからとやかく言っていいわけじゃない。そのかわり、娘の権限も尊重しています。色や柄も自由に選ばせていて、女の子だからピンク、なんて言いません。その甲斐あってか、哲学的な子供に育ってます。 —娘さんはご両親の仕事についてどう考えているんでしょう?

リスペクトしてくれているみたいです。私の場合、娘を現場に連れて行かないっていうマイルールがあって、親の仕事を押し付けたくないっていう気持ちもあるんですけど。娘はポージングが得意で、chiaki no bi-zu のビジュアルにも出演しています。

—ビーズアクセサリー作りは趣味で始められたそうですね。母親業に加えて、変則的なモデル業の中で、趣味の時間を見つけられていることがすごい。

きっかけは、旦那さん。美容業界誌のために70sっぽいネックレスを探していて、お店に買いに行ったら結構高かったので、自分で作ってみたら意外と好評で。昔から器用だったこともあって、ビーズアクセサリー作りの楽しさに気づきました。 —確かに器用そうですよね。

そうなんですよ(笑)。ビーズアクセサリーを作り始めたら、自分が案外上手なことに気づきました。もともと趣味がなかったんですけど、暇だとSNSばかり見てしまうのがイヤで。ビーズを作ってる時は集中できますし、良いSNSデットクスになっています。娘用のビーズキットもあるので、一緒に作れば、家族の時間にもなりますし。

ー家族とのコミュニケーションのひとつでもあったんですね。新型コロナウィルスの影響でおうち時間も増えたと思いますが、何か変化はありましたか?

ありました。子供を産んでから、モデルになって、ずっと突っ走ってきたので。自粛期間中、自分が子供と全然向き合えていなかったことに気づきました。それまでは、1日を何事も終えることに精一杯でした。おうち時間では、娘とずっと一緒に過ごすことができたのが嬉しかったですね。 —新型コロナウィルス自体は喜ぶべきものではありませんが、忙しかった人にとっては、生活を見直すいい機会なったかもしれませんよね。

私たちにとっては良い面もありました。物事をネガティブな面だけで捉えてしまうと、ただ蝕まれてしまいますよね。どんなに怖くても、不安でも、娘と過ごす時間はかけがえのない時間なので。ビーズアクセサリー作りもそうですし、普段できないことをやってみました。フェルトを買ってきて、ドレスを作ってみたり。

—ビーズアクセサリーは自粛明けから販売を始められたそうですね。もとより売り上げは募金するつもりだったんでしょうか?

そうです。もともと幼児教育科を専攻していて、子供のためになることがしたいと思っていました。活動家みたいに思われるのはイヤなんですけど。10代の頃からそういう思いがあって、保育士の資格を取りました。虐待されている子供をサポートしたかったんですけど、10代の自分は傷ついた子供たちに生半可な気持ちで接することができなくて、保育士の道は諦めました。今、娘ができて、子供たちが元気になることをしたいという思いが強くなりました。 ー動物愛護団体にも寄付されていますよね。

実家で保護犬を2匹、保護猫を1匹飼っていて、動物保護にも興味がありました。ただ、そういう活動には時間がかかりますし、現状100パーセント取り組むことが難しいので、募金という道を選びました。お金があれば、何かの足しになるので。もともとビーズアクセサリー作りは趣味で始めたんですけど、友人にあげていたら、勿体ないから販売したほうが良いよ、と勧められました。ただ、趣味のままでいたかったので、利益を自分のものにするのは違うなと思っていて。チャリティにしたら、自分も、買った人も、寄付先も全員ハッピーになると思って、寄付することにしました。今回のポップアップもチャリティにしました。 —自粛期間中は、寄付の呼びかけも盛んに行われていたように思います。いざ寄付しようと思うと、寄付先について調べなきゃいけないことが多くて、意外と難しいということに気づきました。

寄付先はすべて変えています。ひとつの団体に偏るより、色々な人や考え方があることを考えて、一回一回変えていくことを決めました。動物愛護団体は特に難しいですよね。信用に足りる団体かどうか、きちんと調べないといけないので。私は動物を保護している団体にしか寄付していません。 —今回、ビーズアクセサリーを公式の場で販売するのは初めてだったとお伺いしました。

スピード感がはやくて、10月頭に話しをして、10月末にはポップアップを開催しました。途中で品薄になってしまったので、追加でアクセサリーも作りました。時間がある時には、なるべく店頭に立つようにしていました。やっぱり直接手に取ってもらえるのは嬉しいですね。

—オンラインだとお客さんの顔を見ることができませもんね。

古着屋さんで働いていた頃は、身近な存在だったと思うんですけど、モデルを始めてからなかなか直接会うことができなくなってしまって。ただ、私自身は何も変わっていないので、昔以前働いていた古着屋さんに来てくれていたお客さんにも会えたりして、感慨深かったです。知っている人や今回初めて来てくれた人に会えることが嬉しかったです。奥さんへのプレゼントに買っていかれる男性の方もいて、ユニセックスで作っているので、買う人が選んでくれることにも面白さを感じました。 —畠山さんのビーズアクセサリーは、ご本人のエネルギーが伝ってきます。感覚的に作っているんでしょうか?

そうですね。ファッションも、ひとつアイテムを決めてからコーディネートすることが多いので。ビーズもこれって決めたものに合わせて作っているので、ひとつひとつテイストが違うんです。作ってみたら、70sや50sっぽかったり、自分が普段ファッションでできていないことがビーズだと落とし込めるので、ストレス発散にもなっています。 —今後も可能性が広がりそうですね。

そうですね。最近だとミュージックビデオへの衣装提供のオファーがあったりして、驚いてます。実は12月、1月に渋谷区の学童保育でビーズのワークショップを予定してます。12月は先着順で好きなようにビーズアクセサリーを作ってもらって、子供達の感性が磨かれるような機会になればいいなと思っています。1月に関しては予約制で、作ったものがどうやってマーケットに出されて、売れたものが寄付されるのかという寄付について考える会を予定しています。ビーズアクセサリー作りを通して、子供達がよりハッピーになる活動をしたいと思っています。 今後はコラボレーションだったり、東京以外の場所でもポップアップしたいですね。ぜひ楽しみにしていてください。    

Text_Manaha Hosoda

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PROJECT

teamLabとFirsthand 必然性のある出会いと化学変化

2019年のオープン以来、Fashion―Sustainable―Artをコンセプトにセレクトし、他では味わえない体験・空間を提案しているFirsthand。今回また新たな試みを発信している。それは、アート集団チームラボがデザインしたサスティナブルなエコバッグ「teamLab Folding Rice Bag」の発売。コラボするに至った理由、またそこに込めた想いについて、チームラボを率いる猪子寿之氏、Firsthandディレクター福留聖樹へ聞いた。 ーチームラボ×Firsthand、この組み合わせは必然のような意外なような・・・。そもそもおふたりはどのようにして出会ったんですか? 福留 直接出会ったのは去年ですね。猪子さんを接客しているスタッフから紹介されて。 猪子 そのちょっと前に、知り合いがサスティナブルをコンセプトにしてるお店に転職するって言うんで。実際に行って見てみたら、全部がサスティナブルをコンセプトにしているもの扱ってて!すげえなって。「成り立つんですか?」って80回くらい店員さん聞いて(笑)。「まぁ成り立ってますよ」「まじか!」って。 福留 その時は、絶対着ないだろうなっていうツータックのパンツを購入してて(笑)。 ーそれが出会いだった?

猪子 実質はそうなんだけど、それよりも前に、うち(EN TEA HOUSE)で扱っているお茶「EN TEA」を、2年位前かな?お土産で持って帰れるようにしようと考えてて、なんとなくティーバッグって使い捨てだしアレだなっていうんで、お茶のブランド自体もサスティナブルな方にシフトしたんですよ。EN TEAを扱っているチームラボボーダーレスというミュージアム自体も、日本で初めてオープン時からペットボトルがない自販機で、アルミ缶の水をわざわざ作ったんですよ。で、そのお茶もFirsthandで扱ってもらうようになって。

福留 猪子さんは、アートの世界でやられてるのと、実際にやりながら考えてらっしゃることのギャップが面白かったです。一般の人から見たら、デジタルアートは電力いっぱい使ってます、みたいなイメージがある中で、サスティナビリティに対しての意識が高いのは、こういう考えがあってああいうことをやってるからこそ、きっと今やられてることの中にも意味があるというか・・・。 猪子 いや、デジタルって物質からの解放だからね。物質から解放しなきゃいけないと思って。で、デジタルにすごい興味を持つようになって。デジタルが、物質が人々に与える価値以上の価値を与えてくれるならば、人類は必ず物質から解放されていく。存在することが価値ではなくて、体感こそが価値に(なるように)、価値観を変えたいと思ってデジタルでアート作り始めたから。 ーチームラボが11月8日まで佐賀県の御船山でやっていた「かみさまがすまう森」にも繋がっていきますね。 猪子 そうですね。デジタルだから実は自然そのまま使えるし。 福留 その御船山のプロジェクトの話は、いつ聞いても影響を受けます。個人的にも現地に滞在し、アニミズム(自然崇拝)と現代的要素との掛け合わせに、新しい価値を感じることが出来ました。ファッションの世界でもサイエンスやテクノロジーによって、ナチュラルでありながらも機能的な新しいマテリアルが開発されていること、クラフト的な要素への回帰があることにも通ずるものがあります。 ―そんなおふたりの共鳴から、米袋を使ってのエコバッグ「teamLab Folding Rice Bag」のコラボへと繋がっていくんですね。そもそもどうして「米袋」をアップサイクルしようと? 猪子 都市部で生活してると意図せずコンビニ行くじゃん。てことは、朝出かけるときにコンビニ行くと知らずに家を出るわけですよ。つまりずっと空っぽのままエコバッグを持ち続けなきゃいけない。だから使ってない時に一番スマートなエコバッグを作ろうと思った。それが1個目の理由。2個目は、コンパクトになるっていろんな方法があるけど、日本は伝統的に紙の文化で、使ってない時に折り畳む、みたいなものがもともとあった。折ってコンパクトになって、すごく日本的な背景があるものがいいなと思ったのが2個目の理由。3つ目は、廃品を使えたらいいな、十分流通されてるものを使えないかな、と。ボク、田舎(の出身)だから、今でも米は紙袋に入ってるんですよ。米を何十㎏も入れられるくらいだから丈夫だし。で、もともとギフトショップ用のエコバッグを作ろうと思ってたから、世界の人が来たときに、そういう日本の文化的背景があって、それがエコバッグになってるっていうのはすごくいいな、と。ただね、手間はかかるんですよ。もとのカタチを崩さずに余計なところは取り除いて縫い直す。紙が分厚いから糸も太いし。部品を足さないようにして手仕事だけ増やして大変なんです(笑)。 福留 折る文化は、いろんな方法がデザインに落とし込まれるのは、すごく勉強になりましたね。 ―昨今、ファッション界もサスティナブルな方向へ進んでいますね。 福留 それはポジティブに捉えています。出来ることからまずやる。まだ出来ていないことについては、出来ていない企業を応援するところはじめればいいと思います。ひとつやりはじめると、次も何かサスティナブルなことが気になるようになる。そのループが大切だと思います。 猪子 このコロナ禍で、お茶もそうだけど、エコバッグは行けるってなって助けてもらいました 。 ―今、コロナのお話が出ましたが。コロナ禍にも新しい試みをされていましたね。 猪子 家のテレビがアートになる「フラワーズボミングホーム」っていうの作ったんだけど、みんなが家にいなきゃいけない状況で、美術館も行けないわけじゃないですか。ある種の無力感に苛まれたんだけど、一方で、イタリアでみんなが歌いあってるのを見てさ、すごくいいなと思ったの。家にいながらも参加できるってすごいなぁと思って。ニュースでは分断を煽りまくるというような現象を見てる中で、家にいながらも世界とつながっていることを祝福できるような、家のテレビがアートになったらいいなと思って、夏にリリースしました。しかも、今は絵にもなるんです。自分の描いた絵に合うような花が自動的に集まってきて1個の作品になって、その画像がダウンロードできるんです。 ―何かをはじめるとき、どこからかアイディアが降って来るような感じですか? 猪子 いやいや、自分でやれることなんて、所詮今まで生きてきたちょっとずつ積み上げてきたことに、ほんのちょっと足すことぐらいしかできない。アイディアなんか降ってくることなんかなくて、今もたまたま、ちょっとずつ積み上げてきたものがここにある。やれることなんてほんのちょっとだから、ちょっとだけ足すみたいな、そういう話ですよ。 福留 猪子さんがすごいのは、人に対しての優しさみたいなのがあるんですよね。誰かのことを想ってたりするところから生まれるんじゃないのかな。それから、チームラボが掲げる「ボーダーレス」は、Firsthandの中でも大切にしている思考のひとつです。人種やジェンダー、国や業界などの壁はなるべくない方が、新しい価値を生み出せると思っています。計画を立てている暇があれば、まずは会いに行ってみたり、試してみることが大切かなぁと。 ―また、チームラボ×Firsthand、猪子×福留のコラボが見たいですね。 福留 実は、先日の打ち合わせのときにちょっと話に出たアレ、つくってきたんですよ。マカオの作品で服が濡れちゃうから。 猪子 え!アレ??濡れても大丈夫な服?? 福留 水をはじきます。お茶をこぼしても大丈夫! 猪子 スゴイ!!洗濯もできる? 福留 できます! 猪子 アノ展示で実用化するには・・・。 福留 素材を変えて・・・。 お互いのことを「刺激を受けて次の何かを生み出すキッカケになる」、「ひとつ聞くと、知らないことがすぐ出てきて面白い」、と評するふたりのケミストリー。この後も、ふたりのアイディアは尽きることなく、次のコラボの話もまた聞けそうな予感漂う展開となったのでした。  

teamLab

テクノロジーとクリエイティブの境界はすでに曖昧になりつつあり、今後のこの傾向はさらに加速していくでしょう。

そんな情報社会において、サイエンス・テクノロジー・デザイン・アートなどの境界を曖昧にしながら、『実験と革新』をテーマにものを創ることによって、もしくは、創るプロセスを通して、ものごとのソリューションを提供します。

@teamlab

 

Text_Hiroko Abe

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PROJECT

「アクションを起こさなければ。」Firsthand ディレクター 福留聖樹

2019年10月の青山店に続き、今年7月には2店舗目を渋谷の新名所MIYASHITA PARK内にオープン。Fashion – Sustainable – Artをコンセプトに、自由な発想からモノやコトを体感できるセレクトショップとして展開。店名にふさわしく、他では味わえない体験型のコンテンツを揃え環境問題、サスティナブルムードに対する姿勢を発信している。そこでブランドディレクター福留に今季の取り組み、これからの歩みを聞いた。

他では体験できない空間作り、接客でお客様に何かを感じてお買い物を楽しんで欲しい。

ーFirsthandを始めるに至ったきっかけはなんですか? まず、私自身は前職ではモノ作りの現場にずっといました。その際にちょっと汚れていたり、ちょっと傷ついていたり、そんな理由から工場の隅で山積みにされた生地や納品できない商品を沢山見てきました。以前からサスティナビリティ、モノの循環に関心がありましたし、この様な現状を変えたいと思い始めた時には、自然とFirsthandの構想を練り始めていました。
Firsthand AOYAMAファサードのホワイトセージ
ーコンセプトについて教えて下さい。 我々はFashion – Sustainable – Artをコンセプトとするセレクトショップです。これらのキーワードを主軸に他では体験できない空間作り、接客でお客様に何かを感じてお買い物を楽しんで貰えたらと思います。
以前、Firsthand AOYAMAにはHaroshi氏のアートピースであるGUZOが鎮座
ーショップの強みはなんですか? やはり同じ志を持つ仲間、スタッフの存在ですね。例えばア ラブ ムーブメントの大久保さんとは、旧い付き合いでプロジェクトアドバイザーというより、まさに同志の1人ですね。彼からは多くのことを教わりました。廃棄されてしまうようなモノをお直し、カスタマイズをすることで既存のアイテムに付加価値を加えることであったり、正にFirsthandの理念と重なる部分があったわけです。
ア ラブ ムーブメントのカスタムコーナー
ー『アップサイクル』についてブランドとしてはどうお考えですか? 正直、各スタッフでも捉え方によって違うとは思いますが、元々あるプロダクトの使用用途を変えることで新しい価値観に生まれ変わらせる、と言ったところです。リサイクルとは少しニュアンスが違いますね。例えばジュエリーの置いてある透明のディスプレイは車のスピードメーターを使用する際にでる廃棄物なんです。廃棄となるプロダクトを壊し再構築するのではなく、使用用途を変えることで再活用すること、それがアップサイクルだと考えています。
貯水タンクや水撒きホースを活用、再構築し水の循環プロセスをデザインに取り入れたソファ

謳わなくても、その行いが、その言葉が自然と当たり前になっていって欲しいです。

ー加速化するサスティナブルムードへどのような期待を持っていますか? アップサイクルやサスティナビリティと謳わなくても、その行いが、その言葉が自然と当たり前になっていって欲しいです。その思考や行為が浸透することで、長くファッション業界の問題とされている大量生産、大量消費、大量廃棄、これらを解決するに至るかも知れません。逆に懸念点もあります、それはひとつのトレンドとして盛り上がり衰えていくことです。これは僕たちがいま直面している課題でもあり、仕事だけでなく生活の一部として捉えアクションを起こしていく必要があります。
Firsthand RAYARD MIYASHITA PARK
ー注目のブランドはありますか? gallary deptというLAのブランドを取り扱っています。僕たちが掲げているFashion – Sustainable – Artというコンセプトと実に密に一致しているブランドなんです。彼等はヴィンテージプロダクトのシルエットを変えたり、ペイントしたりと、ある種アートに昇華している一点物を手掛けています。彼等の考えや行為に賛同し、購入して下さっているお客様が多いので入荷するとすぐに完売するものが多いです。彼等の活動は影響力を持つヒト、ブランドにも伝わっていて、例を挙げるなら世界的に有名なデザイナーであるヴァージルアブローが着用したことでも話題です。
工事現場で使用されるリフトを再利用したハンガーラック
ー2号店目となるFirsthand RAYARD MIYASHITA PARK出店について、経緯を教えてください。 実は1店舗目となる青山店がオープンする前からオファーを貰っていました。どこから情報が漏れたのやら。。(笑)ただし勿論二つ返事でオファーを受けた訳ではありません。我々のやるべきこと、MIYASHITA PARKという立地で何を表現するのか、コンセプトの決定など、検討すべきは多々ありましたから。何よりもビジネスとして持続性があるのか、研究し仮説を立てながら慎重に進める必要がありました。
サスティナブルをクリエイティブで表現したインテリア
ー20AW以降の展開はどのようにお考えですか? 現状、なかなか実店舗で云々というのは難しいと思っています。そこで以前から熟孝しているのがサスティナビリティとテクノロジーの融合です。まだアイディア段階ですが、無人店舗でファーストハンドの世界観をお客様に体感してもらう空間を作ってみたいです。その空間をキャンピングカー内に作り、日本全土を周るのも良いのかも。あとはVR機能を駆使した体験型のネットショッピングも頭の中にはありますね。このような我慢の続く状況下ですが、面白い試みを皆さんにお届けできたらと思っています、お楽しみに。  
 

福留 聖樹

1990年代にTUBE斎藤久夫⽒のアシスタントを務めた後、欧州を拠点に活動。2006年より国内ブランド及び⼤⼿セレクトショップに在籍。2018年デイトナ・インターナショナル⼊社。サスティナブルにフォーカスしたコンセプトストア「Firsthand」、渋⾕PARCO内のスタジオ「2G」に参画。

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PEOPLE

Iris Lawがアーティストとして発信するメッセージ。

南青山にオープンしたFirsthandのオープニングイベントとして行われた、モデル/ナチュラルダイアーティストのIris Lawによるタイダイ染めのワークショップの様子をお伝えするとともに、彼女が取り組むプロジェクトに対しての思いを語ってもらった。 ーモデルとしての活動以外に、ナチュラルダイのプロジェクトを始めたキッカケはありますか? ーOther than working as a model, what was the start for this natural dye project? 学校の課題で、世界のファッション業界が生み出す汚染についてエッセイを書き、その上でどのような具体的な解決策を生み出すことが出来るのかという取り組みを行いました。その汚染要素の一つに化学染料が大きく影響していると知り、そこから天然染料について調べ実際に取り組み始めました。ドキュメンタリーや本で自分なりのプロセスを探って試していくうちに、ただただこのナチュラルダイの工程にハマってしまいました。自分の作り出す色も、このプロジェクトで発信出来るメッセージも、私はとても気に入っています。 I wrote essays at school about the pollution that the fashion world creates and then tried to portray viable solutions for each aspect. One of the main elements was the chemical dyes and that led me to research and try out the natural dyes. I fell in love with the process because I figured out my own process and took inspiration from lots of books and documentaries. I love the colours I can make and the message it sends. ーなぜALMのテツ氏とのコラボレーションをするに至ったのでしょうか? ーWhy did you want to collaborate with Tetsu? 小さい時から彼の作品が大好きで、いつも父から借りるALMのフーディーがあったんです。当時は彼のリサイクルカシミヤを使用して環境に配慮したプロジェクトを行っている事を全く理解していなかったのですが、大人になり、同じコンセプトについて取り組みを行い始めて改めてALMの偉大さに気付き、彼とのコラボレーションを実現させたいと思いました。 Since I was very young I loved his work and had a hoodie which I always borrowed from my dad by him. I never understood the concept that he used recycled cashmere and was helping the environment with his message until I was older and was also interested in the same message. ーFirsthandの取り組みや、展開されているアイテムについてどう思いますか? ーWhat is your thought for the items that’s carried at Firsthand? エレガントかつ洗練されたカラフルな色使いや、遊び心のある展開がすごく好きです。また、例えば、リサイクル素材のアイテムがあったり、エシカルな生産背景で作られたアイテムがあるなど、サスティナブルというコンセプトを基に様々な意味が混在している所も本当に素敵だと思います。 I love the range of playful and colourful with refined and elegant. I also love the mixture of means to make the items sustainable for example there’s recycled materials as well as ethically made materials.
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