
AZUSA IIDA(from TOKYO)



MIKE PERRY(from NEW YORK)



NO PANTIES(from BERLIN)


Park Delicatessen(form NEW YORK)



Text_Manaha Hosoda
Text_Taiyo Nagashima
Felix the Cat ©2020 DreamWorks Animation LLC. All Rights Reserved.
Text_Taiyo Nagashima
-後編へ続く-
Felix the Cat ©2020 DreamWorks Animation LLC. All Rights Reserved.
Text_Taiyo Nagashima
FREAK’S STORE創業者である鹿島研は、時代は変われど、今も相変わらずアメリカを車で旅することをライフワークにしている。「DAY TRIPPER」と題したその旅では、自身の原点に立ち返り、その場所の空気感や匂いを感じるものに触れている。そしてその旅で出会った、現地でしか手に入らないものをスーベニアとして、エキシビジョンにて販売している。
第6回目となるエキシヴィジョンでは、「The Innovative」をテーマに展開。7月4日アメリカ独立記念日にワシントンD.Cへ行く、ということだけを決め、あとは気の赴くままに街から街へと訪ねた。そこでこの度、旅を記録した写真集「DAY TRIPPER 2019 PHOTO EXHIBITION & POPUP SHOP」のオープニングレセプションにて、「アメリカの旅」をテーマに、鹿島研、写真家の谷口京氏、そしてトラベルカルチャー誌TRANSIT編集長である林紗代香氏が司会をつとめたトークショーが開催された。
林紗代香 「DAY TRIPPER 2019」の写真集を、TRANSIT編集部の方で編集をさせて頂き、鹿島社長と、谷口さんと一緒に制作をすることができました。アメリカの旅でTRANSITとして思い描いたのが、写真家として谷口さんでしたので、今回トークショーにお招きをいたしました。お2人にアメリカの旅をお聞きできたらと思いますが、初めて訪れようと思ったきっかけや、どれくらいの期間行かれたんでしょうか?
鹿島研 私が初めてアメリカの旅をしたのは、19歳のときになります。私は1961年生まれなんですが、まさに「平凡パンチ」やアイビーが流行っていた時代で、その「平凡パンチ」が「POPEYE」に変わっていくんですけど、その間に「Made in U.S.A catalog」というのが、1975年に発刊されまして。そこで初めて見たアメリカの文化にもの凄くショックを受け、いつかアメリカという地に、自ら行ってみたいなと思い19歳のときにロサンゼルスからサンフランシスコまで、約10日間かけて車を借りて旅をしました。そのときに得たインスピレーションが、FREAK’S STOREの創業に繋がり、またその歩みが今に繋がるといった感じですね。
林 そのときは1人で行かれているんですか。
鹿島 そうです。1人で行って、でも商売をしていたわけではないので、基本的には友達に向けたお土産をそのときはみつけていました。当時、日本の歯磨きというのはチューブだったんですけど、アメリカに行ったら歯磨き粉が立っていたんですよ。パッケージが三色で、なんだと思って買って押してみたら、赤白青って三色が出て来て。こりゃすごいなと思って10個くらい買って、お土産に渡したらそれがうけて。当時200円くらいで買ったものを、「これいくらくらいなら買う?」と聞いたら、「800円くらいなら買うかも」と。それで、これをアメリカで買って、日本で売ったら商売になるのかなと思ったんです。
林 買い付けに行こうだとか、何かを見ようだとか、具体的な目的があったときはどんな感じだったんですか?
鹿島 501と、RED WINGのブーツと、Eddie Bauerをどこかで買おう、みたいな。最初は自分用でしたけど、そんな感じでしたね。
林 どこで買おうとか、目処をつけていたんですか。
鹿島 それが、売っている店がないんですよ。「Made in U.S.A catalog」を見て欲しいなと思ったんですけど、実際にアメリカに行ったらそんな格好をしている人たちはいなくて(笑)。その頃は、デニムをロールアップして、ウエスタンブーツを履いて、ワゴン車に乗って大陸を旅するみたいなイメージがあったんですけど、そしたら「お前、テキサスから来たの?」とか言われまして。カリフォルニアでは、そんな格好をしている人が誰もいなかった。結局、行くのは作業屋ですね。そうすると、Eddie BauerやL.L. Beanなどのジャケットがあったり、ウエスタンブーツはTimberlandの奥に置いてあったりして。「服屋に売っているわけじゃないんだ」と驚きましたね。
林 それが40年前のことなんですね。谷口さんは、どんなアメリカの旅をなさってきたのですか?
谷口京 大学3年のときにアメリカに行きました。当時は、芸術学部の写真科に通っていたんですけど、パスポートをとって、お金を貯めてですね。最初にロサンゼルスに飛んで、当時、空港の近くにロケットレンタカーというのがありまして、そこで一番安い車を借りて旅をしました。
林 2人とも1人で行かれたんですか?
谷口 僕は1人で旅をしました。日本にいたときに、アメリカの地図を見ていたんですけど、「死の谷(デスバレー)」とあって、一体どんなところなんだろうって。僕は田園都市線上で育って、一戸建てに並木道がある、ある種、画一化されたイメージのところに住んでいたので、幼いときから「世の中はこれだけじゃない」とずっと思っていたんです。それでテレビで、「野生の王国」や「シルクロード」などを見て、海外へいつか行ってみたいなと思っていたんですね。それで、アメリカに行きまして、ロサンゼルスから車で走り始めて、ラスベガスへ向かう途中で一気に砂漠が広がるんですよ。そのときの真っ直ぐな地平線とハイウェイを観たときに、「ああ、来た」と思いましたね。それで、死の谷へ行きました。
林 鹿島社長は、「DAY TRIPPER」と題して旅を始めたわけですけど、始めようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか?
鹿島 もともと自分でアメリカに行って、自分が「これ格好いいな」と思ったものを仕入れて、それをお店に持っていって陳列をして、お客さんに熱く語って買ってもらうということをしていたんですけど、もう一度自分で見に行って、自分で欲しいと思うものを探してみようと思ったんです。それでシアトルから、ロサンゼルスまでを2週間旅をしまして。グロッサリーに寄ったり、陶器を作っている工場に寄ったり、ポートランドにはキャンバスの生地を使ったバッグを作っているところがあったり、街のステッカーとかを集めたりして。そうやって集めた、日本ではありそうで売ってないものの物産展をやろうと思ったんです。アメリカへ行き出して2~3回目くらいから、まとめて買って頂くという現象が起き始めまして。好きな人には、同じチューニングで通じるものなんだということを感じましたね。
林 今年の夏は東海岸を中心に、アメリカの建国をテーマに旅をされたようですが。なぜ、そのようなテーマで旅をしてみようと思ったのですか。
鹿島 アメリカという国が作ってきたカルチャーに人生の大半を費やしてきたんですけど、この偉大な国はどういう風に作られたのかと考えたら、非常に血なまぐさい戦いの歴史があり、またそこにある自由や権利とはなんなんだろうと。その歴史を感じる地に立ってみたいということで、独立宣言のあったワシントンDCへ行きました。同じ場所に立って、同じ風を感じたいという目的が「DAY TRIPPER」にはあるんです。ちなみに、今まで一番鳥肌が立って、涙が出たのはウッドストック。あのステージがあった場所に立って、風を浴びた瞬間、「ここであの朝、観客が寝ている中でジミヘンがあれを弾いたんだ」と思ったら鳥肌が立って、涙が止まらなくなくなりましたね。感動しました。
林 2019年の旅で、印象に残っていることはありますか?
鹿島 独立記念日をホワイトハウスで迎えようと思ったんですが、途中から、アンディ・ウォーホルがピッツバーグで眠っているということを聞いて、このままピッツバーグまで足を伸ばしてウォーホルのお墓に星条旗をたてたいと思ったんです。独立記念日には、アメリカの国旗をたてる習慣があるんですね。それでウォーホルのお墓に行ったんですけど、本当にさまざまな建築家や芸能人とともに写真に収まっている人が、ピッツバーグの街を外れた普通のお墓に眠っていたんです。そこに世界中から人々が訪れて、キャンベルの缶を置いたりしていて。墓地の隣にはウォーホル・ミュージアムがあって、お母さんが絵を教えている写真や、小学校のとき描いたラクガキや、大学に入ったときに描いた絵などが展示してありまして。やはり小さなときから天才的なのがわかる。ウォーホルが好きなのであれば、是非ピッツバーグにあるミュージアムを訪ねてもらいたいですね。
林 鹿島社長はルートをあまり決めないで、行きたいと思ったところへ行かれていますが、谷口さんはどのようなスタイルで旅をされていますか?
谷口 自分も決めないですね。もちろん、どこどこで何をみたいとか大まかなことはありますけど、行き当たりばったりなことが多いです。それとアメリカはハイウェイではなく、横の小さな道を辿るようにしているんです。日本でも国道よりも、旧街道を行くほうが好きだったりするので。
フリークス ストア渋谷店に併設されるギャラリー「OPEN STUDIO」。
この空間の主ともいうべきディレクターの落合に、実験的な取り組みを発信し続けているOPEN STUDIOの歴史を紐解いてもらった。
—OPEN STUDIOを始めるにあたっての経緯を教えてください。
フリークス ストアの旗艦店である渋谷店が2017年にリニューアルするにあたり、構想の段階からギャラリースペースの計画はありました。さらなる新しい価値を創造する路面店のあり方をメンバーで議論を重ね、フリークス ストアとは一線を画したギャラリースペース「OPEN STUDIO」が生まれました。
—OPEN STUDIOの存在意義とはどのようなところにあるのでしょうか。
OPEN STUDIOは企業価値向上(ブランディング)の活動場所として、様々な価値を発掘・編集・発信することによる出会いが既存ビジネスの繁栄や新規ビジネスの創造のプラットフォームとして機能することをミッションにしています。
—企画内容はどのようにして決定されていますか。
キュレーションの内容は大きく3つに分かれます。まずは私自身のノリ(直感)でアーティストやブランドを選定・編集するパターン。2つめはフリークス ストアで扱うブランド(MD)をさらにブラッシュアップして編集するパターン。3つめはスペースをお貸出しして借主が自由に編集するパターンと様々です。
—これまで大小様々なイベントが開催されてきたと思いますが、特に印象深い企画は何でしたか。
まずは2017年に開催した、PARK DELICATESSEN POP UP SHOPです。プライベートでNYに行った時に目に止まったブルックリン発のローカルショップで、フラワーとスケートボードといったコンセプトが面白くて個人的にインスタでもつながっていました。OPEN STUDIOの誕生により、オーナーのマイケルに直談判してポップアップが実現しました。ローンチパーティは非常に盛り上がり、アイテムも当日でほぼ完売。次シーズンからフリークス ストア全店で独占的に契約販売につながりました。
つぎに、2018年開催のYOSEMITE CAMERA STRAP CUSTOM POP UP SHOPです。20代の頃から付き合いのある写真家HOBBY IZAKI率いるスモーキーサンデーが提案するYOSEMITE CAMERA STRAPのリニューアルのタイミングでカスタムオーダーショップを開催。期間中はカメラのストラップとしてだけではなく、iPhoneやキーホルダーに付け斜めがけし、ファッションアイテムとして提案したことから、現在大人気のYOSEMITE MOBILE STRAPの開発・販売につながりました。
—まだ記憶にも新しい、今年反響を呼んだ企画もあったかと思います。
マルチクリエイター「米ちゃん」こと米原康正氏とのコラボ企画は大きな反響がありました。男性にはおなじみ?のロケーション「例のプール」をファッション的に解釈したインスタレーションで、モデルのモーガン茉愛羅さんを起用した作品や、例のプールをアイコン化したファッションアイテムを提案し、ローンチパーティ当日でほぼ完売しました。数多くの芸能関係者の着用もあり、その後はオンラインショップにて継続的に販売し、偽物商品も多数出回るほどでした。
また、8/18まで開催しているRVCAが年一度開催するWORLD TOURをベースにしたイベントでは、作家・コメディアン・料理人など様々な肩書きを持ち、RVCAとも深い関係を持つ「MATTY MATHESON」とのコラボレーションアイテムをローンチ。マティ本人も来場し、ウェルカムフードとしてチーズバーガー300食を振舞い、600人に及ぶ大行列ができました。コラボアイテムも当日で完売し、RVCAのアーティストネットワークのパワーを改めて感じたイベントでした。
—運営上、大切にしているポイントはありますか。
常に新しいネタを探さなければならないという使命感は強く持っています。また孤立奮闘しながら進めていくストレス耐性や、アーティストとのコミュニケーション能力が試される場面は多くあります。
—今後はどのような発信をしていく予定ですか。
社内でもギャラリー活用の意識が高まってきているので、様々な角度からさらなる新しい価値を発掘・編集・発信していきたいと思っています。また国内だけではなく、海外からのオファーも少しずつ増えてきているので、日本でキュレーションするならココみたいな感じでさらに認知度を上げてたくさんの良い出会いを創造していきます。
落合 輝
Creative Design Office.ディレクター
PROFILE:1972年生まれ。1995年入社。販売スタッフ、店長、PR、販売促進などを経て2017年現職に。フリークス ストアの旗艦店である渋谷店に併設するギャラリースペースOPEN STUDIOのキュレーターとして様々なアーティストやブランドとコラボレーション活動する傍ら、企業ブランディングやロイヤリティビジネスにまつわるアートディレクションやグラフィックデザインも担当する。